「ねぇねぇ、どれにする??」

「んー、これもいいけど、こっちも気になるよね!!」

と、さっきから何の映画をみるのかとキャッキャとはしゃぐ和香と理依奈。

「理依奈もだけどさ、和香も優柔不断だったんだな。」

「だろ?見た感じサバサバして決断力あるって感じだけど、見ての通りだぞ。」

そう。和香はかなりの優柔不断。毎日飲み物何飲むのか決めるだけで自販機の前にどれだけの時間いるのか。毎日飲むんだから何でもいい気もするけど、和香いわくそうはいかないらしい。理依奈もかなり優柔不断みたいだから中々映画は決まらない。

「和香?そろそろ決めないと時間なくなるぞー。」

「理依奈も早く決めちゃいなよ?」

「空、急がせないでよー!…でも、本当に時間ないね。理依奈?何にしよっか?」

「んー、じゃあこっちにしない?和香この女優さん好きでしょ??私もこっちの方が面白そうだなって思うし!」

「うん!わかった!空!優弥!決まったよー!」

と、笑顔で言ってきたから俺らは何にするのかと聞いたけど…そりゃそうだよな。
今から見るのは最近話題になってた恋愛ものの映画。高校生の男女2人が色々な壁にぶちあたってしまうっていう典型的なもの。
まぁ、俺と優弥は確実に眠たくなるやつだ。

「空?俺が寝てたらおこせよ?」

「ん、俺もよろしく。」

「空ー?優弥ー?行くよっ!始まっちゃう!」

「優弥っ。やっぱりほかのが良かった??男の子にはあんまり面白くないよね…。」

「う、ううん!見る!お、俺も気になってたんだよね!」

うん。素晴らしい嘘をついたことで。まぁ仕方ないよなぁ。俺もあんな風に聞かれたら見るって言うし。

「楽しみだなぁ。これすっごくキュンキュンするらしいよ!」

和香は笑顔で言った。こんな笑顔になってるんだからいっそ何でもいいやってなる。

「うん。そうだな。」





「はぁー。本当に可愛かった。みた?!あのウルウルした目!本当可愛すぎるよ。」

「よかったな、和香。ずーっと前のめりになってるんだから、途中椅子から落ちるかと思ったけどな。」

「あ!ちょっとバカにしたでしょ!」

「さぁー。」

「もうっ!空はいつもそんな風にバカにするっ!ね、理依奈!面白かったよね?」

「うんっ!かっこよかったよぉ。途中で恥ずかしくて見れなかったもん。」

「空。俺は心が折れそう。」

和香が理依奈に感想を求めるもんだから。しかも理依奈も優弥忘れたか?ってぐらい俳優褒めるしで、優弥はかなりショックを受けてた。

「はいはいっ。もう俳優相手に嫉妬しないー。和香!昼飯行くぞー。」

「うんっ!いこいこ!」

その日はご飯を食べてショッピングモールに行って帰った。
ショッピングモールでは和香が理依奈と優弥に気を使ったのか別行動を提案したから実際には和香としか回ってないけど、理依奈と優弥にとっては良いデートになったんじゃないかなって思う。


こんな幸せな日常が壊れる日が来るなんて、誰も。俺自身だって知らなかった。