生意気オオカミの虜


太陽さんの、手招き。

来い来いと手招きがまたちょっと照れます。


軽く咳払いし手招きに答えて太陽さんの立つキッチンへ。



「 はい、来ました 」

「 じゃこれ、割って 」

「 はい 」



卵割る係り? ふふ…


彼氏彼女ならこんな風に一緒にキッチンに立つのも楽しくてしょうがないだろうなぁ


例えば卵を割って、意外と下手くそで黄身が割れたり殻の欠片が入ったり……

それを助けたり、優しく意地悪に文句を言われたり……

それからやっぱり料理上手な彼の手解きを生でね、されちゃって心臓がバックバクしたり。



「 …へへ、やだもう~ ナハハ 」

「 羽奈ちゃん、楽しい?」

「 えっ あ、はい 」



やーだ、一人で妄想しちゃってた。

変な女だって思ったよね……



「 羽奈ちゃん、ケチャップ取ってくれる? 」

「 はーい 」



凛と一緒に料理すらないもんなぁ

ちょっとくらい手伝おうか?とか言えばいいのにさ~

まぁ凛は食べるだけの奴だもんね。


あ、ケチャップがない……



「 太陽さん、冷蔵庫にケチャップないですけど 」

「 え、あ!じゃこの上の開きにあるかも 」

「 わかりました 」



と、ケチャップを取るために冷蔵庫よりも高い位置にある開き戸を開けてみるが、手が届きそうにはない。