生意気オオカミの虜


大学生の私、もはや勉強どころではない。

そんな時に限って避けたい人物から連絡が来る。



頼―羽奈、今日バイト?


―バイトあるけどなんで?


頼―ちょっと会いたいから。


―了解、バイト終わったらね。


頼―連絡して。


―うん。





私の中で渦巻く出来事。

凛の兄である頼、もしや凛から私の事を聞いたのかもしれない。



“俺の女だからな”



頼に宣言したのかもと、落ち着かずいた。

項垂れる机に顔をつけていると、隣に座る友達の千草が同じようにして私に聞く。



「 ねぇ なんかあった?」

「 ん~…… あったけどさ~ 」

「 わかった、イケメン兄弟の事でしょ 」



美世、あんたするどいよ。



「 どっちが原因?」

「 どっちって…… 」



凛だよ、弟の方。



「 羽奈、今日バイトあるんでしょ?そんな顔してたらクビになるよ 」

「 ほっといて~ 」



困ったな、今思えば凛は冗談であんな事しないと思うし。

どっちかと言うと頼ならわかる。

凛、あれは本気だった?