生意気オオカミの虜

合鍵を渡した親を恨む。

凛は私の髪を両手で摘み引っ張り言った。

堂々と、真顔で。



「 羽奈、羽奈は今から俺の女だからな 」

「 へ… 」



っ!?


チュー、と凛がキスしてにこやかに、それはもう軽やかに部屋を出て行った。


唖然に、呆然に、放心。

そして訳のわからぬ怒り。



あ… あいつー!!

私の唇奪った!!



「 キーッ 何なのようっ 」



しかも……



「 俺の女だからな… ですってー!バカじゃないの、どうかしてるわ 」



怒りの中で不意に過る凛のキス。

私はわかってる。

少しでもそのキスに……

凛のキスに酔いしれた事を。




「 ……やめて、バカ!あれはキスじゃないんだからねっ 」




そうだよ、だって小さい頃からずっと一緒で、チューくらい何度もした。

なのになんで…

なんで私は………



頭から凛を追い出そうと、一人でじたばたしていた。