生意気オオカミの虜


凛が、私にキスしてる。

どうして…?

何… ヤバい、何これ……



「 …ハァ…… 」

「 羽奈 」



離れた唇と、すぐに抱きしめて離さない凛。

私の頭は空っぽ。

我に返り、凛をどついて説教してやりたいのに言葉がない。

子供の、小さい頃のキスとはまるで違う。



「 羽奈?」



あ……



私を見つめる凛は心配そうにしてる。



「 羽奈は俺が守るから 」



凛……

何から守るの?

誰、何?

それって……



「 凛、私にまたキスしたら出禁にする!」

「 え?」



凛には予想外の私の反応だったはず。

それもそうだ、キスされて拒否られなかったら良しと思っただろうに。

でも、ゆっくり思考回路が戻れば私は私であるわけで。

凛は幼馴染であり、弟みたいな存在。

だから、キスは間違ってる。



キッパリ凛に言うと、凛は私を睨む。

それの顔が可愛いと昔から思ってた。

だがもう昔のお子ちゃま時代とは違う、だからこそ凛に対して境界線が必要だと思ったまでの事。

幼馴染の凛、弟みたいな凛……

まさか、あんな風にキスされるなんて。



「 凛、聞いてる?」

「 羽奈のくせに… 」

「 は!?」

「 出禁になんかなんねぇよ、合鍵は俺が持ってるから 」



あ… そうだった。