まったくお母さんてば何勝手に渡してんの!

しかも合鍵だし!!


「 凛、学校行かなきゃでしょ、早く帰りなよ 」



頼も頼だよ、凛がここにいるの知ってんの?

頼もなぜか合鍵持ってるし、凛まで……

私が一人暮らしした意味がないじゃないの!


私はさ、大学生活で絶対に絶対に…

彼氏作るんだから!!


そうなんです、私は頼と凛がそばにいるせいで好きな人が出来ても二人のチェックが入り実らないまま今日まで来てしまった。

それを回避するためにも家を出て一人暮らししたかった理由のひとつ。

それなのに、両家両親が結託してか兄弟に合鍵を渡して私はまるで囚われの身。



「 あ~……… 」



床に手をついて項垂れる私を、凛はよしよしと頭を撫でる。



「 やめて!! 凛、帰って!」



私の恋ライフが始まらないでしょ!



「 ……羽奈、この辺最近怪しい奴いるらしいから何かあったら呼べよな 」



生意気な!

高校生のくせに……



私は凛の心配や忠告を完全に無視した。

まさか、その数日後にあんな事が起こるなんて思いもしなかったから。