生意気オオカミの虜


もう凛の奴、私に迷惑かけないでよ!


急ぎアパートへ帰ると、凛が玄関手前のところで倒れていた。



ちょっ…



「 凛! 凛っ!! ねぇどうしたの!?」



仰向けにした凛の頭を膝に乗せて声をかけた。

それも必死で……



「 凛!!」



どうしよう… 凛が倒れてるなんて……

私がそばにいなかったから……



「 凛~…… ごめんね、お願いよ、目を開けてよ~… 」



もはや泣く。

嫌な事ばかりを考えてしまう。

階段から落ちたわけじゃないが自分を犠牲にした凛。

その凛が今何かしらの症状が出たのかもしれない。

アパートに帰ってきた早々に頭をぶつけてた。

私のせいだ……



「 そばにいるからぁ 私、凛が治るまで離れないからぁー 」



凛の顔に涙を落としながら言った。

それは本心だった。

すると私の涙伝う頬に凛の手が触れる。



「 羽奈… 待ってた 」

「 凛~!」



良かった。



ともあれ、いつか私は知る、凛は演技がうまいと。

それはすべて私を独占するためだ。

今は何より、凛には優しくするのみの私。



「 おかえり、羽奈 」

「 ただいま、凛 」