生意気オオカミの虜


凛は私ごと体を起こしてヒョイッと立ち上りトイレへ。



あんな軽々と……

ウサギか?



「 それにしても 」



なんてキスしてくれるのよー!

つい、つい私まで……

どこで覚えたんだか。

高3のくせに!



エアコンを冷房にして、キッチンで買ってきたジュースをコップに入れる。

一気に飲みスッとした。



「 羽奈、俺も飲む 」



……はいはい。



「 コーヒーやめろよ 」

「 え~ まだ飲めないの?」

「 苦いのは嫌なんだよ、甘い羽奈がいい 」

「 ああそう、羽奈がいい… は!? 」



ニヤニヤとする凛。

ただムカつく私は落ち着けと言い聞かす。



からかわれちゃダメ、遊ばれてもダメ、相手は凛だよ。

私の方が上よ!!

当然よ!!



「 凛!」

「 サンドイッチ出して 」

「 はい 」



あ~……… 今の私情けない。



あんなキスの後じゃまともに顔見て強気に出れないじゃーん。

情けない、やだもう……

これはもう頼のせいにしよう!



「 羽奈、あーん!」

「 ん、あぁーんむ… 」



ハムサンドが口の中に。

噛み締めてわかるのは、サンドイッチの角の部分で具があまりない所。

口の中で水分だけを奪っていく白くて厄介なうまいやつ。



「 コーヒー飲んで 」



飲まされる私は健康体だが、これはまさに甘い感じだ。



「 凛… あんた私に角の… 」

「 ほら、あーん!」

「 んむっ 」



またか。

具が、ハムがないんだけど?

なんだってこんな事してんだか……