生意気オオカミの虜


ありがちと言えばわかる気がする。

だから階段から落ちたわけではなく、踏み外した。

その時、凛は女子を庇ったんだろう。

その結果がこれだ。

藤谷という女子はきっと凛が好き。

庇ってくれたのは自分に好意があるからか、無理やりで彼女になっちゃえ!的な発想か……



「 ほら藤谷、学校に戻るよ 」

「 えー! でも泉沢君がっ 」

「 泉沢は自宅で安静、藤谷は学校だ!」



やだやだと、可愛い女子がダダを捏ねている。

凛はそのやり取りに冷たいため息。

私と頼はそんな光景にため息。



先生と藤谷さんを連れて行き、凛は足を庇うよう歩きながら一緒に病院を出る。



「 羽奈… 肩貸して、足痛い 」

「 あ、うん 」

「 甘えんな、凛 」

「 頼、今日はじっとさせてなきゃ。おじさんもおばさんも留守でしょ 」

「 ……そうだな、だよな 」



ん?



頼の車に乗り、私は気づかなかった。

私の気遣いの言葉が頼に悪知恵働かせることを。

さらには、凛にまで。


私は頼と凛、二人にいいようにされてしまうなんて、この時は気づかなかった。



凛がコンビニ寄ってくれと言い、菓子類に飲み物、デザートのアイスを買わされた。

そして、帰り道が違うと気づいた時には遅かった。



「 ちょっと頼? ここ私のアパートじゃん 」

「 親が留守だし、羽奈が凛看てくれるなら親も感謝感激だろ。いいな、凛 」

「 おう、感謝感激だ 」



は、バカなのあんたたちは!!