蒼空斗side


十桜夜さんがいる病院から帰るとき、

沙亜耶を送ることになった。

沙亜耶が笑顔で「帰ろ!」って言ってきたとき、

俺は、どんな顔をしてたんだろうか。

沙亜耶は俺を見ると、悲しそうに顔を歪めていたから、

つい、はや歩きでバイク置き場まで行った。

すると、向こう側から忘れたくても忘れられない女が、

こっちをみて笑っていた。

同時に体が動かなくなった。

しばらくして沙亜耶が来たけどなにも考えられなくて。

すると、沙亜耶に手を引っ張られて、

沙亜耶の方を向いた。

なにか聞いてくると思った。

でも、沙亜耶はなにも聞かずに

「帰ろっか!」と言ってくれた。

こいつなら大丈夫だと思った。

沙亜耶。全部話すから。

俺の話を聞いても同情せずに側に居てくれるか?