今年の春、日美が高校に入ってすぐ両親が離婚した。 母以外の女のもとで、子供をつくった父。 父以外の男のもとで、寝起きを繰り返す母。 離婚するには、十分な理由だった。 それ以来、日美は3人で暮らしていた家に1人で住んでいる。 親権は母のものだが、もう半年以上会っていない。 1人ぼっちの生活に、日美は言い表せない孤独と不安を抱えていた。 そして、1週間前から、気がつけば繁華街に来ている夜を繰り返していた。