-…昨日もジャケット借りたのに、失礼だよねっ。仕事中なのに… 「いいからっ、風邪ひいちゃうよ?」 「大丈夫です。ごめんなさい、お仕事中なのにっ」 日美はうつむいたまま謝ると、そのまま自宅へと駆け出した。 「ちょっ、日美ちゃん!?」 「あ、おいっ!彼方、指名だぞっ」 冷たい風の向こうで、そんな言葉が耳に届いた。