「大丈夫だから…泣かないで?」 日美の頭をなでながら、困ったような、切ない声でささやく。 「…自分が怖いッ」 かすれた声で呟き、自分の背中にしがみつく日美を、彼方は一層強く抱きしめた。 「大丈夫、落ち着いて」 日美の傷に触れ、彼女が抱えるもっと大きな傷の存在を感じながらも、何も言えずにいた。