「あの、アタシ…ッッ」 突然、涙が頬を伝い、日美は膝に顔をうずめた。 「えっ、ゴメン。泣かせる気はっ」 肩を震わす日美に気づき、彼方は慌てて車を止めた。 「気がついたら、あの通りにいるんですッ…ちゃんと、家で寝たはずなのに…いつもッ」 振り絞るような声。 彼方は思わず、運転席から身を乗り出して日美を抱きしめた。