「アタシ、自分で歩けますっ」 「靴も履いてないその足で?」 「…」 結局、彼の車まで抱きかかえられて来た日美は、車内で膝を抱えていた。 「日美ちゃん、家の人は?」 「あ、アタシ1人暮らしなんで」 ハンドルを握りながら、横目で問いかけてきた彼方に、日美はますます身を小さくしながら答える。 「…夢遊病、なのか?」 ドクンッ 心臓の鼓動が速まった。