雪色の月が、夜空に映える。


欠けゆく途中の、どこか寂しさをまとった三日月は、夜の街を淡く照らしていた。


「ってえなぁ!!」


雨宮 日美*アマミヤ ヒミ*は、その怒声に意識を呼び戻された。


「あ、すみません…」


舌打ちしながら去って行く男を、日美は呆然と見送っていた。



午前1時。


カラオケや居酒屋の集まったこの通りだけが、夜に似合わないにぎやかな空気を彩っている。



-…アタシ、また…


わずかに震える手を握り締めて、日美は自分の体を見下ろした。