かけがえのない人



でもすぐに前の時みたいに戻って

「転校、しなかったんだ。てっきり逃げるかと思ったのに」

「航と、もう一回話がしたくて」

「俺はもう話すことなんてないから」

そうやってでていこうとした航の手をとってそのままひっぱる。

言い合いになりそうだから、このまま屋上へと連れて行こうと思った。

でも、抵抗されたら簡単に腕なんて振り払えるはずなのに、それでもそんな気配はしなかった。