わかってた。 別にお父さんを責めたかったわけじゃない。過去にしばりつけられてたのだって事実だ。 いつもあの本をみて自分の罪を再確認して、彩香の笑顔とか最後にみせた睨んだ顔を思い出して。 でもそれでも、捨てたくはなかった。 この本は彩香にとって命と同じくらい大事な本だったから。 いつか彩香にちゃんと向き合う準備ができて、謝りにいくときに返すつもりだったから。