かけがえのない人



あれからどうやって家に帰ったのかわからない。

気づいたらベッドに横になっていた。

でも帰ってすぐにお母さんにどうしたのとすごく心配されたことだけはなんとなく覚えている。

起き上がると雨に濡れたのと疲れとで頭がずきずきした。

それでも近くに落ちていたかばんを拾ってその中から彩香の本をだした。

もともとボロボロだったその本は雨に濡れたことでさらに傷つけられ、ところどころ破れていた。


彩香の分身のようにみえた。


この本にわたしは苦しめられる。
そのときそう感じた。