言い捨てるように言葉を吐きだして。
私は剣崎くんの背中を追いかけた。
何度も人にぶつかったけどそんなの関係ない。
ちゃんと、自分の気持ち伝えないと。
みっ子ちゃんの言う通りだ。
思ってた事言わなかったから。
私、まだ一回も言ってないの。
好きだって。
剣崎くんの事が好きだって。
言いたい事なにも、伝えてない。
だから今も剣崎くんの事傷つけて。
ほんと、私ばか。
だめだめの、だめだめ。
「いたっ……!」
鼻緒の切れる音がした。
勢いよく踏み出したその足が石につまづいて。
そのまま前のめりに倒れ込む。
咄嗟に出した手で身体を受け止めるけど。
新しい浴衣は土で汚れて。
足も血が滲んでいた。
鼻緒も切れて、下駄壊れちゃうし。
これじゃあ、追いかけられない……。
負の連鎖に涙が出そうになる。
泣いちゃだめ……。
泣く資格、ないんだから。
ぐっと、泣くのを堪えていると。
「お嬢さん大丈夫?」



