その姿を見た私は。
無意識に繋いでいた手を離してしまった。
そのことに気付いた剣崎くんは。
私の方を向いて立ち止まっていた。
「小梛……?」
「羊!来てたんだ。」
「う、うん。」
「羊と……け、剣崎くん?」
「なんで小梛と剣崎が……?」
「付き合ってるって、マジだったのかよ。」
剣崎くんの姿を見るなり、みんなが怯え出す。
女子は顔を青ざめてるし。
男子は、剣崎くんを怯えながら睨んでる。
ちらり、剣崎くんの方を見てみれば。
顔色を変えず、違う方向を見ていた。
今までだったら怒っているのかなとか考えてた。
でも今なら分かる。
傷ついてるんだ。
顔には出してないけど。
心の中では傷ついてる。
だって、剣崎くんはそういう人だから。
「どうせ小梛脅して無理やり付き合わせてんだろ!」
ひとりの男子が大声でそう言った。



