「オランジェットぐらいなら売れるだろう。
少し検討してみるか。」
ぶつぶつ考え始める剣崎くん。
本当、ケーキ大好きなんだ。
ああでもないこうでもないって言ってる姿が頼もしく見えて。
出店もありなのかも、なんて思ったりしてしまう。
「いちごあめ、ひとつ。」
そうこうしているうちに順番が来て。
私がお金を出す暇もなく剣崎くんが買ってしまった。
「あ、あのお金……。」
「これは俺からの。」
「でも……。」
「いいから、受け取れ。」
また睨んでくる剣崎くん。
ちょっとムスってしてる……。
「あ、ありがとう。」
その好意に甘えて。
私は剣崎くんからいちごあめを受け取った。
その姿を見て剣崎くんは満足げに笑って。
また私の手を引いて前を歩き始めた。
一口いちごあめをかじれば。
甘い飴の部分と、少し酸っぱいいちごの味。
大好きな味。



