「お母さん、変じゃない?」


「変じゃない変じゃない。」


「か、可愛く見えるかな?」


「それもう5回目よ、羊。大丈夫だって、何回も言ってるじゃない。」


「だって~。」


何回言われても気になるものは気になっちゃうんだもん。


約束した日から一週間。
待ちに待った花火大会。
剣崎くんとの、2回目のデート。


今日はおめかし、頑張った。
浴衣は新調して白地に紫色のお花。
天パのくるくるの髪の毛は後ろで一つにまとめた。


身長差は埋められないけど。
少しでも大人っぽく見えるように。
たくさん工夫してみた。


剣崎くん、気に入ってくれるかなあ。
どきどきしつつ、私は待ち合わせ場所へと向かった。


みんなお祭りに向かうんだろう。
駅周辺は人でごった返していた。


身長の低い私は。
人に押しつぶされながら待ち合わせ場所へと歩いていた。
視界が、悪い……。