――結婚式当日。


結局、あの日から私とラウルは、アンナさんに心配をさせないために変わらずに会い続けてはいたが。それほどまで多くの会話を交わすことはなかった。



ラウルにしてみれば聞きたいことはあったのだろうが、私の様子を見ている限りでは聞けないと思ったのか、ただ傍に居るだけに留めていた。



そんなラウルの優しさに感謝をしながら、私は今日と言う日をどういう気持ちで迎えればいいのかがわからずにいた。



寂しい。苦しい。辛い。悲しい。
どれもが当てはまっているようで、何かが違うようなそんな感じすらする。



ロイ……

愛しい人の名を心の中で呼びながら、あの日に自分の名前を呼ぶ声を思い出す。



寂しげなあの声は、別れの日の声と似ていて。きっと彼自身も傷付いているのだろうと、初めて気付けたようなそんな感じすらする。



ごめん、と何度も謝った彼。
私と別れることを決意してまで一緒に居たいと彼が願った相手、ミアと名乗った少女。