――貴族のお嬢様が式を挙げるならば、きっと想像よりもずっと盛大な式になるんだろうな。


好きな人と結婚出来るのだから、花嫁にとっても一番の思い出になるだろう。

同じ女性として羨ましげに憧れるようにそう思いながら、仕事に戻ろうと踵を返した時だった。



「そう言えば今日、そのお相手の方が到着するみたいよ」


「え?」


「折角だからティナちゃん、見に行ったら?多分、式場の確認にも来ると思うからお二人を見れると思うわよ」


「で、でも、仕事が」


「もう、ティナちゃんは真面目ね。
……よし、ラウルくん。強制連行‼」



予想外のアンナさんからの提案に私は驚いた表情を浮かべながら、慌てて断ろうとするものの。

アンナさんは苦笑を浮かべながら、成り行きを見守っていたラウルへと声を掛ける。



「あ、俺?……行く?ティナ」


「え、えっと、じゃあ少しだけ見に行こうかな?」


「はい、いってらっしゃい二人とも」