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どこか安心していた。今、私を取り巻く環境に。


優しく、暖かくて……それは故郷を思い出すような、雰囲気すらもあったのかもしれない。



――だからかな、すっかり忘れていた。

一つの場所に留まり続ければ、あの人と再会する可能性が高まることに。


旅をするのが普通のあの人にとって、この街が通過点である可能性であることさえ、今の私は忘れていた。



でも、何の因果だろう?

忘れるという約束を果たせない私への、一つの罰なのかもしれないとさえ思った。



……忘れたいよ、貴方のことを。この苦しさがなくなるなら、今すぐにだって忘れてしまいたい。

それが貴方への幸せに繋がることを私は知っているから。



でもね、それさえも私の勝手な思い込みなのかもしれないね。



だって、もう、貴方が何を考えているのかわからないから。あんなにもわかっていた貴方のことを、何もわからなくなってしまったから。


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