「あの頃、俺は物書きとしての仕事が忙しくて弟を気遣ってやれなかった。放って置いてしまったんだ……。
でも、あの時。少しでも弟のことを見ていれば違う未来があったのかもしれないとすら思ってる、今でも」
余裕がなかった、っていうのは言い訳かもしれない。でも締め切りが近かったのも事実で、あの頃自分のことしか考えられずにいた。
でも、もしもほんの少しでも良かったから。些細な変化に気付けていたら、今も笑っていただろうか。
「……。弟は自殺、したんだ。崖から飛び降りて、そのまま」
「……え?」
「理由は今もわからない。でも、優しい子だったから誰かと何かしらのことがあったのは事実だと思ってる」
ぎゅっと手を強く握りしめながら、震える声を必死に抑えて俺はゆっくりと言葉を紡ぐ。
今まで黙って聞いていたティナは、予想さえもしなかっただろう俺の言葉に驚きの声を思わず漏らした。
でも、あの時。少しでも弟のことを見ていれば違う未来があったのかもしれないとすら思ってる、今でも」
余裕がなかった、っていうのは言い訳かもしれない。でも締め切りが近かったのも事実で、あの頃自分のことしか考えられずにいた。
でも、もしもほんの少しでも良かったから。些細な変化に気付けていたら、今も笑っていただろうか。
「……。弟は自殺、したんだ。崖から飛び降りて、そのまま」
「……え?」
「理由は今もわからない。でも、優しい子だったから誰かと何かしらのことがあったのは事実だと思ってる」
ぎゅっと手を強く握りしめながら、震える声を必死に抑えて俺はゆっくりと言葉を紡ぐ。
今まで黙って聞いていたティナは、予想さえもしなかっただろう俺の言葉に驚きの声を思わず漏らした。


