「オレさ、嬉しいんだ。中学時代は身長伸び悩んでたからさ。流石に好きな子より小さいのってちょっと男として情けないだろ?」
「別に情けないとかはないと思うけど…。実際、私みたいにデカい女もいることだし…。っていうか、植草好きな子いるんだ?」

そっちの方が驚きだった。

「いるよ。お前は?いないの?」
「私…?私は…」

言葉を飲み込んだ。

「明日、チョコレートあげたい奴とか、いないのか?」
「う、ん。だ…だいたいさ、嬉しくないでしょ?私みたいなのに貰ったって。それこそ、皆にからかわれるネタになっちゃうって」

こないだの続きみたいな話になってしまって内心へこむ。相変わらずのマイナス思考だ。
でも、また何か言われるかな…と思い、笑顔を作って誤魔化してみた。
すると…。

「何で?」
「え…?何でって…」
「オレは欲しいけどな」
「え?」
「…なんでもない」
「植草…?」

何か、思わぬ言葉を聞いたような…。

(私の気のせい…?)

すると、植草が話題を変えるように話し始めた。

「オレさ、願掛けしてるんだ」
「…願掛け?」
「うん。毎年、高山ってヤマほどチョコ貰ってるだろ?」
「う、ん…。まぁ…」

再びそこの話題に戻ってしまい、少しテンションが落ちていく。

「その高山のチョコの数にオレが勝つことが出来たら、好きな子に思い切って告白してみようかなって思ってるんだ」
「は…?」

何か、今とんでもないこと言わなかった?!

「ちょっ…ちょっと待って。何で私のチョコの数なんかでそんなっ…」

勝手に変な願掛けをしないでいただきたい!

「だからさ、どうしてもお前に勝ちたいんだ。勝って晴れて告白をしたいんだよ」
「あのね…。そんな変な願掛け止めて、普通に頑張って告白すれば良いでしょう」

頼むから私を巻き込まないで欲しい。