浩介と過ごす初めてのエイプリルフールは小さな嘘で始まった。

「嘘だよ〜!今日はエイプリルフールだよ?」なんて言う浩介に、

「もぉ、焦るからほんとに辞めて!」という裕美。

そんなエイプリルフールを毎年送った。

圭と過ごした、エイプリルフールは嬉しくもあり、辛いものだった。

だからその想い出に、浩介と過ごす他愛ない楽しいエイプリルフールの記憶を上書きしようと言う浩介が考えたものだった。

そんな浩介の想いを理解して、

裕美にとって、とても大切な想い出と変わっていった。

エイプリルフールの嘘は二人の愛と絆を更に深めた。

それから交際を始めて、数年後の月日が流れ、

裕美が30歳になる日、浩介はプロポーズした。

裕美は宜しくお願いしますと頷いた。

しばらくした休日、デートを兼ねて、裕美は浩介を連れていきたい場所があると連れ出した。

そこは…圭のお墓だった。

「…ここは?」と言う浩介。

「圭のお墓よ。ちゃんと紹介しとこうと思って」そう言う裕美。

二人は手をあわせた。圭に報告する為に…。

その時、ふわっと優しい風が吹いた。

そして、圭が現れた。

『裕美ちゃん、おめでと…僕も裕美ちゃんが笑ってくれて嬉しい』

そう圭の声が二人に届いた。

「圭…ありがとう。私、浩介君と幸せになるから!ずっと…」その後の言葉は上手くでず、裕美はただ涙を流した。

そんな裕美の肩を優しく抱いて、改めて圭の方を向いた浩介は圭に向かって話しかけた。

「絶対に二人で幸せになります!なので心配しないでください!裕美さんを悲しませたりはしませんから!周りから羨ましがれるような夫婦になります。後悔無いよう、圭さんの分もちゃんと二人で生きていきます!なので見守っていてください!」

浩介はそう言った。

『ありがとう。二人とも…幸せにね』そう言い残した圭は消えてしまった。

二人は呆然とただその場に立ち尽くした。

「大丈夫ですか?」と浩介は言い、頷く裕美。

「圭に約束しちゃったし、悔い残らないように幸せにならなくちゃね!圭の分も!」そう裕美は言って笑うのだった。

数日後、二人は晴れて夫婦となった。

〜END〜