ふふふと笑う茉優に、思わず見惚れかける。
ああもう、こんなに幼なじみが可愛いとか反則だ。
幼稚園以来一緒にいるけれど、茉優の可愛さは進化するばかり。
その代わりに私は成長している気がしない…。
夏休みが明けた10月だというのに、なんだか自分はまだまだ幼いままな気さえする。
私が描いてた高2は、もっとこう…、キラキラしてたんだけどなぁ。
理不尽な世界を感じながら、私より10cmくらい小さい茉優と歩幅を合わせて駅へと歩く。
「あ、星玲奈にこれあげる!」
「ん?クッキー?」
「茉優ね、昨日お家に帰ってからお菓子作ったの〜。」
「相変わらずお菓子作り好きだね。」
「えへへ、大好きっ。」
茉優が、口元に手を当てて小さく笑う。
私の友達に『最恐の幼なじみ』とレッテルを貼られるのは、自然と茉優が繰り出すモテ仕草も要因の1つ。
顔良し、性格の男子ウケも良し、仕草良し、でモテないわけもなく。
他の女子にとっては、男を釘付けにする脅威的な存在。
おかげで『最強で最恐の幼なじみ』の完成。
そしてその隣で、たたずむ地味な私の誕生。