「…あ、また来た。」




扉の音に反応したのか、机の上に座っていた久遠くんがこちらを見た。



…良かった、ちゃんといた。




口元が緩んだのに気づくけれど、私の足は自然と彼に近づく。





「久遠くん、これ。ミネラルウォーター。」



「なんで?」




なんで、って今日も聞かれた!



変わらない久遠くんに、ははっと声に出して笑ってしまった。



その瞬間、不服そうに眉を下げられる。




「どうして笑ってるの。」


「いや、だって、昨日もなんで?って言われて困ったから。」



「だって、不思議でしょ。俺とあんた昨日会ったばかりなのに、どうしてそこまでするの。」




ああ…そっか、久遠くんの『なんで?』はどうして私がそこまでするかって意味?



なんか…、少し言葉足らず。



それにふふっと笑うと、また不満げな顔をした。