「まあ正直、冷やかしの気持ちで、プリンスはどんな子連れてたの?って聞いて"赤ずきん"って返された時は、衝撃で5回くらいは聞き直したけど。」
いや、さすがに聞き直しすぎじゃないかな!?
「でも、なんかいいなって思ったんだけどね。星玲奈と久遠真尋。なんか、なんとなく合うなって。」
「………いやいや、不釣り合いすぎるでしょ。」
明らかな月とすっぽんだよ。
私の返しに、首を捻らせた真音。
…私と久遠くんが合うわけないのに。
その時、目線の先にこっちにやってくる茉優を見つけた。
「ま、真音っ、とにかくこのことは他言無用で…!特に茉優!」
「茉優ちゃん?わかったよ…秘密ね?」
別にやましいわけじゃないけど、茉優にだけは何となく言えない。
…なんだか、言うのは気乗りしない、から。
「ただいま〜、なんかねお手洗いすっごい遠くにあったんだけど、綺麗だったの。」
「そうなんだ、良かったね。あ、そうだ、これさっき食べたけど美味しかったよ?」
ニコニコと笑顔を向ける茉優に、ほんの少しの罪悪感を感じながら、違う話題を向ける。
…左隣の人の、じーーーっとした視線はとりあえず気づかないフリするけどね!

