「そ、それは…」




「いくら逃げるためだって言われても、好きでもない人と手繋ぐ?ないでしょ、ありえない!」




あまりの真音の熱量に、思わず言葉が詰まる。




…それは、私だって考え…なかったわけじゃない。




そこまで、純粋じゃないもん、私。




なんで躊躇いもなく手を繋ぐんだろうって、あの言葉の意図ってなんだろうって、そんなの気になるに決まってる。





だけど、最後に辿り着くのは結局『特に理由なんてない』。




久遠くんは少し不思議な人だから、って。





だって、あんなにすごい久遠くんが私のこと見てくれるなんて、そんなのただの夢物語。





「懐かれてるなって…いうか、好意的に見てくれてるんだろうなとは思うけど…、そんな恋愛的に見てるわけないよ…。」




「そうかなあ?」




まだまだ納得のいかない真音に「そうだよ」と言い放った。