私の名前は綾瀬 希空(あやせ そら)

高校に無事合格し、入学式を待ちわびる15才。

家族構成は…お母さん、お父さん、お姉ちゃん、
の4人家族。

それに、親友の木原 海香(きはら うみか)

あとは…私はあんまり頭は良くない。

高校だって海香と一緒の所に行きたいが為に死ぬほど勉強したのだ。

合格した時は本当に安心したけど…


しかし…ここまで自分の情報を思い浮かべたはいいけど肝心なことはまだ思い出せないな…

さっきのセリフはなんだったの?


「海香の声…だったよね…」


――『一人で行ったら危ないよ!?』


「私、何かやらかしたのかな…?」



最後に海香と会った記憶。
それさえ思い出せればなにか思い出せるかもしれない。


海香…海香…うーーーーーーーん…


……あ、そーいえば海香とどこかに出掛けたような……

…………………………
………あ、


「そ、そ、そうだったあ!!!!!私、海香と旅行に……!!!」

唐突に思い出した記憶に思わず大声が出る。

周りの通行人が訝しげに私を見るが今はそんな事はどうでもいい!
思い出したんだ!


4月3日、入学式の1週間前…

私たちはそれぞれの親に頼み込んで1泊2日日の旅行に行った。

まだ中学を卒業したばかりの二人だけで旅行なんて…と最初はかなり反対されたけど、2人でそれぞれの親に長い時間かけて頼みこみ、

〈夜は出歩かないこと〉

〈観光する場所を必ず連絡し、着いたとき、旅館に帰れたとき、それぞれ連絡すること〉

〈なにかあったらすぐ近くの人に相談し、こっちにも連絡すること〉

〈まだ寒いので海の中には入らないこと〉

〈余計なものは買わないこと〉

などを条件にふたり旅を許可された。

私としてはもう少しゆるい方が良かったけど、文句など言ったらどうなるか分からなかったので私と海香は大人しくそれに従うことにしたのだった。