いや待て。タイムスリップしたというだけでもいっぱいいっぱいなのに本当にこれはどういうこと?

未来に来たというのに自分自身は幼くなった?

一体何歳まで戻ったの?
今の私はどんな姿をしているの?

猛烈に不安に駆られた私は近くの鏡を探すことに。
こんなに大きな公園なのだからトイレくらい近くにあるだろう。

ぐるっと辺りを見回すとちょうど100mくらい先のところにお手洗いのマークが見えた。

いそいで駆け込んで顔を確認する。

「嘘でしょ…これ、私じゃ…ない…」


鏡に映る私は、私ではなかった。

鏡には長い睫毛に薄い唇。綺麗な栗色の長い髪をポニーテイルした子供がいた。
正直かなり可愛い。

私が右手を上げると鏡の中の子も右手を上げ、
私が瞬きをすると鏡の中の子も瞬きをした。

どうやら今の私はこの美幼女らしい。

外見からして、小学校低学年くらい。

「一体……どうなってるの………」

どうして私はこんな姿になってるの?
どうしてタイムスリップなんかしてるの?
どうやってこの時代にきたの?

考えたけど、どうしても思い出せないのだ。

ここに来るまでの経緯が。

どうすれば……取り敢えず家に帰って頭の中を整理したい…
って、あれ?

「私の家…なくない?」


当たり前だが、この時代に私の知り合いなんているはずもないし、家なんて残ってないだろう。

いや、でも…

「この子は、誰なんだろう…?」

私はもう一度鏡を見た。
小学校低学年くらいの女の子が鏡から私を見つめている。

私の家はないけれど、この子の家なら…あるかもしれない。

もしこの姿の子が存在しているなら、当然家もあるはずなんだ。

だから、この子が誰だか分かれば、家も見つかるかもしれない。


思い立ったが吉日だ。まずはここが何年なのか調べよう。
そのあとは私の姿の子が誰なのか調べて…うん。
出来る気がする。

正直不安しかないし凄く怖い。

でも方針は決まった。やることがあるのならなんとかなる気がする。
根拠は無いが、自分は運が良い方だ。
きっと大丈夫だろう。

「よしっ!」

気合いを入れるように両手で頬を叩き、私は立ち上がった。

トイレから出て辺りを見渡す。

相変わらずの人の多さだ。