「ごちそうさま。」

「あら。青もういいの?」
「うん。真央、先に外で待ってるから。」
「ちょ、青兄はや…!」

そう言って真央は、急いで朝ごはんを食べる。

「ごちそうさま!…………いってきます!!」
「真央待って!」

「何?おばさんどうしたの?」
「誕生日おめでとう!」

「!!!」

「今日はごちそう作るからね。」

「おばさん…ありがとう、楽しみにしてる!」


真央は急いで結んだポニーテールを揺らして、満面な笑顔で家を出た。

「いってきます!」

田舎の冬は寒い。だが、この冷たさが頬にあたる感じは好きである。


「おせーぞ。」

「ごめんごめん。」
「おい待て。そこで止まれ。」

「えっ?」
青の手前5メートルぐらいで真央は立ち止まった。

「ほら。」
そう言って青は真央に向かってある物を投げた。

「何?………………わ、可愛いクマ。」

「誕生日おめでとう。」

「青兄……ありがとう、とても可愛い。大事にするね!」

「…おう。ほら早く後ろ乗れ。今の時間まだ人いねーから飛ばすぞ。」

青の自転車の後ろに真央は乗る。

2人が乗った自転車は、まだ薄暗い青い空の下で、田んぼに挟まれた道を走る。