やっとのことで自分の新しいクラスを確認し、教室に着くと、ホームルームはすでに終えていた。

「真央ー!」

勢いよく声をあげたのは、みほである。

「また同じクラスなれたねー!でも朝来なかったからさ、見間違えかと思ったよー。ん?なんか元気ないね?」

「もう朝から色々あってさ……」

「ねぇねぇ知ってる!?」

急に真央たちの間に割って入って話しかけてきたのは、
ショートカットで足が速く、とてもフレンドリーな性格の吉田美優である。

「どうしたの?」

「このクラスに転校生がやってくるんだって!背がスラっと高くて、超イケメンよ!」

「美優は転校生と会ったの?」

「さっき職員室に行った時にね。すっごい整った顔してた。」

「へぇ〜、楽しみだね〜真央。」

「そうだね。」

(美優はイケメンって言ってたけど、どんなかんじだろう?きっと、ここでもモテるんだろうなぁー。)

それと同時にふと、真央は思い出した。

朝の謎の少年のことを。

(そういえば朝のアイツは何組になったんだろ?まぁ、今日の居残りで会うだろうなぁ。あぁ、なんか嫌だなー。ゴリラに怒られたのもアイツのせいだし…。)


「おーい席つけー、転校生紹介するぞー。」

生徒がみんな席にゾロゾロと席に戻り、新しい担任の先生が入って来る。その後ろには、

「ええ!?」

思わず真央は声を上げた。先生の後ろには、今朝バスの件からタクシーと共に過ごしたアイツがいた。

「おお田中、お前今日遅刻しただろ。今日居残りな。」

「えっ、いやそれより…その人……。」
「ん?知り合いか?そうなのか?広瀬。」


____ 「広瀬」 _____


名前を聞いた瞬間、バスで目が合ったにも関わらず、
怒りで顔すら忘れていた真央は、改めて目の前にいる謎の少年の顔をはっきりと認識した。


謎の少年、広瀬は真っ直ぐに真央を見つめる。