サンサンと太陽の光が校舎の中に入り込む。
まるで、それが当たり前のように。
日向は冷たく閉ざされた保健室のドアを後にし、教室へと歩き出した。
藤岡日向。高校2年生。
父はフリーカメラマン。
母は総合病院で看護士をやっている。小児科で主任。仕事をしている姿はちょっと自慢の母。
3歳になる弟の太陽。これでもか!ってぐらいにわんぱく。
そんな平凡な家庭で育ち、平凡な顔で平均の成績。
取り柄といった取り柄もない。
だけど、保健医の椿修平を好きな気持ちは誰にも負けたくなかった。
だから、クラスの保健係にあみだくじで当たった時は嬉しくて。
……だけど、そんな事は修平は全然知らなくて。
日向は溜め息を一つはいた。
日向の願いは一つだけ。
修平の彼女になりたい。
たった一つの願い。
叶わない願い。

今日の日差しのように、修平の心に入りたい。
いつもそばにいられる存在になりたい。