……臆病だな、私。
改めて思う。
現実を直視することが出来なくて。
放たれた言葉を受け止めることが出来なくて。
ただただ、言われるままに動いてる。
こんなの、私は望んでいないのに。
これ以上突き放されるのが怖くて、黙って言うことを聞いてる。
これじゃあ、ただの人形と同じだ。
冷たい家から学校へ行き、友だちと授業を受け、太陽とおしゃべりをして、風俗の仕事を終えてから、また冷たい家に帰る。
そんな、機械的な毎日がこの18年間ずっと続いてた。
もう私は、こんな平凡で残酷な日常から抜け出したい。
このことをマスターに話して、何か変わるのかは分からない。
だけど、マスターにならいいでしょ?
私が、自分の実の父親のように思えた人だもん。
私も少しくらい楽になったっていいよね……?

