「……まあとりあえず、涼那ちゃんがまたここにちゃんと来てくれて良かった!」
そう言って肩の力を抜いたマスターを見て、私はハッとする。
……もしかしたら……私は昨日、自分が思っている以上にマスターに心配かけていたのかもしれない…
ーー……だって……よく考えて見たら……
……自分が着替えている間に、妙な物音がして。
急いで支度を済ませ、下に降りた時にはもう私の姿は店内に無くて。
慌てて外に出て周囲を探し、声がする方へ行ってみるとーー……
……私やレイ、ユウが何十人もの男たちに囲まれていて…
その中でもレイはもうズタボロな状態で。
警察を呼んでひと段落したかと思うと、レイの姿が消えていて。
そして私とバー入って、一眠りして目を覚ますと……
私の姿も……無かった……
実際にマスター側の気持ちになってみると、ゾッとした。
……すごい、焦っただろうな……マスター……
責任感が強そうなマスターのことだから、私がレイたちのところに無断で行ったことも自分のせいにしてるんだろう。
あまり表向きに感情を表さない、マスター。
優しい笑顔の奥に、たとえ不安や恐怖があっても、私たち不安にさせないために隠してる。
そんなマスターは、やっぱり大人だなと思った。
それと同時に、私は改めてマスターに申し訳ない気持ちになった。

