ガチャッ





カランカランっ








ドアを開いたと同時になる、聞きなれた鐘の音。








「……っマスター!」







私は店にいたお客サンたちを気にもせず、息を乱しながら店に滑り込んだ。








「……ちょ、涼那ちゃん!大丈夫?」






マスターは急に派手な登場をしてきた私に、驚いた表情を浮かべる。







「……っあの!マス……っゆ…レッ」




普段使わない体力を消費したせいで、息がなかなか整わない。













マスターはそんな私をいつものカウンター席に移動させ、水を出してくれた









私はその水をゴクゴクっと一気に飲みほし、プハッと息を吐いた。











私は何回か大きく深呼吸をすると、マスターの方に向き直り、ガバッと頭を下げた。







店内にいるみんなが私の一連の動きに、ぎょっとしている。







……もちろん、その中にはマスターも含まれてるんだけど。







「……どうしたの?」









マスターは顔を上げて?と、少し焦りながらも優しい声で尋ねる。








「……あのっ昨日!何も言わずに出ていってしまって、ごめんなさい!」







私は顔を上げ、マスターの顔を覗き込んだ。







するとマスターはフッと困ったような笑みを浮かべて、息をついた。






「…分かっているんだったら、いいよ涼那ちゃん。もし今日来たら、怒ろうとしてたのにまさか君から謝ってくるなんて」








マスターは心配したんだよ!と私の頭を軽くこずいた。








私は、そんなマスターにしゅんと体を縮こませる。










……そうだよね、やっぱり心配かけちゃったよね。










……たしかにあの状況で私1人で動くのは、危なすぎた。








幸い、何事も起こらなかったけど、もし暴走族の何人かがまだここに潜伏していて、待ち伏せでもしていたら、また大変なことになっていた。