ーーー次の日。
いくらレイがさらわれたという異常事態が起きたとしても、学校に行かないわけにはいかない。
私は重たい足取りで学校へと向かい、教室に入った。
「おっはよー!」
いつもと変わらず私に挨拶をしてくれる友だちたち。
「おはよ」
私はなんだか気分が乗り切れなくて、つい素っ気なく返してしまった。
すると彼女たちは少し戸惑ったように、私を見る。
そこでハッと私は我に返った。
……みんなに当たって、どうするの…
私は後悔して、すぐさま彼女たちに笑顔を振りまく。
「ごめーん!なんか今日声異常に低くてさー、困るよもー」
いつもと変わらない私の姿を見て安心したのか、ホッと息を吐き、彼女たちはまたおしゃべりを再開しだす。
ーーー……疲れる……
ふとそう心に中でつぶやいた瞬間……
ーーーゴツッ
いきなり後頭部に痛みが走った。
「……ったあ!何すんの、太陽!!」
私は後ろでニヤっと笑っている太陽を、ギロリと睨みつける。
「……お前ー、目の下にくまできてんぞー?またちゃんと寝てねぇな、この野郎。」
そう言って、またもや私の頭をグリグリと痛めつける太陽。
私は、そんな太陽になんだか無性にイラっとして、太陽の手をパッと振り払ってしまった。
ーーー……その瞬間、しまった…と心の中で小さく呟く。

