「……いや……!嫌だ…っそんなの……ーーー」
……絶対に耐えられない。
レイがいない世界なんて、怖くて考えもできない。
1ヶ月いっしょに過ごしただけだけど、もうレイは私にとってかけがえのない存在だ。
笑った顔も見てみたい。
照れてる顔も見てみたい。
嬉しそうな顔も見てみたい。
……たった1ヶ月だったから、まだレイのいろんな顔を見れてない。
もっともっと、一緒にいたい。
……それなのに……それなのに……
……私のせいで……レイは…殺される…の……?
そう思った瞬間、突然頭が真っ白になった。
「……っいやぁ……ーーー」
何も考えられなくなり、目から涙が溢れでてくる。
どうしよう
どうしよう
どうしーー……
「涼那ちゃん」
「……!!」
私がパニック状態に陥りかけた瞬間、聞きなれた声が、静かに耳に響いた。
私は途端にハッと我に返り、ゆっくりと顔を上げる。
「……ユウ……っ!」
私の目線の先には、いつも通りの優しい笑みを浮かべたユウがいた。
私から数メートル離れた所にいたけど、よくとおるユウの声は、はっきりと私の耳に伝わっていた。
「大丈夫、落ち着いて。涼那ちゃん」
優しい声が、私の耳に響く。
静かな声で私に語りかけるユウの手首には、私と同じように手錠がかけられている。
……やっぱりあの時の叫び声は、ユウの声だったんだ…
ユウの姿を見た瞬間、パニック状態だった私の頭が、だんだんと冷静になってきた。
心の焦りも、収まっていく。
少し落ち着いて来た私を見たのか、レイはゆっくりと口を開く。
「……あり少し、あと少しだけ待とう。」
そう静かにつぶやいたユウの目には、怒りと哀しみが宿っていて。
……その目を見て、また心が苦しくなった。
私は唇を噛み締めながらも、コクンと小さく頷く。
何を待つのかは分からない。
でも、もうこれ以上私はユウやレイに迷惑をかけちゃいけない。
そう思い、私は何も聞かずにただただユウを見つめた。
するとユウは私に頷き返し、ゆっくりと後ろを振り返った。
「……?」
私もユウにつられて視線の先に目を向ける。
……っ!!
……そういう事か!
私は路地裏の前に立っている人物を見て、グッと拳に力を入れた。

