「ふわあー眠い」




私は学校に来るなり、大きなあくびを口からこぼす。





「おいおい、何だそのでっけえあくびは!ちゃんと寝たのかよ」





するとそれを見逃さなかった隣の席の男子が、さっそく声をかけてきた。




しまったーーーーー





私は心の中でそう呟く。





でももうしちゃったもんは、仕方ない。



私は彼をそっと見上げ、こくんと頷く。




「ちょっとね……」




私は曖昧な返事をして、あははと笑顔を浮かべる。




彼の名前は、藤沢 太陽。



彼は、私の隣の家に住んでいる、幼馴染だ。



明るく眩しい笑顔を見せる太陽は、私の憧れなんかでもある。



私は見た目やしゃべり方で、明るく元気に見られやすい。



でも実はしゃべるのはそこまで得意じゃないし、人見知りだってする。




でも、そんな本当の私を知っているのは太陽だけ。



小さい頃からずっと一緒にいたからこそ、わかることなんだろう。




だから太陽は、私にとって大切な人。



こんな風に私を心配してくれて、太陽みたいな明るい笑顔を見せてくれる太陽は、大好きだ。





私はまだ少し怒ってる太陽が、なんだかおかしくて、ついクスッと笑ってしまった。




それにいち早く気づいた太陽は、より眉を寄せて、私に詰め寄る。




「なんだよ?!てか、ちゃんと寝ろよな」




怒りながらも心配してくれる太陽。




私はそんな太陽に「はーい」と返事をしながら、机に突っ伏した。






そんな私を見て、太陽がやれやれと肩を落としたその時。







ガタンッ





大きな音を立てて、教室にドアが開いた。