冷たい君の不器用な仮面










__……ドサッ







その瞬間、いちご頭の男が倒れた。








「…………?、」









急に男の腕から解放され、私は体勢を崩して一緒に座り込んでしまった。






……何?何が起こったの?







なんで男が倒れてるの?





なんで私はキスされなかったの?














ポロ……






この状況に頭がついていっていないにも関わらず、流れ落ちる涙。







……キス、……されなかったの………?私…







その事実に、心の奥底からホッとした。








本当に、本当に良かっ……







ポロポロ……






その瞬間、涙がまだ目から次々と流れ出した。




ただひたすら安心して……
あの状況で、あそ瞬間キスされなかったことに。








こんなにも泣いて安心してしまうほど、私には昔、嫌なことがあったんだ。








この暗い倉庫で、手足を拘束されて、無理やりのキス。








___あまりにも似すぎている。あの時の環境と。








私はあの体験をしてから閉所恐怖症になってしまった。







それに加えて仕事場以外でのこういう行動は、私の体調不良に繋がる。







この行動をしてしまうと、私は3日ほど熱が下がらなくなるのだ。







……改めて考えてみても、本当におかしな体。






それもこれも全部、お母さんと偽のお父さんのせいなんだ。







小さい頃に私を売って、しばらく知らない人たちに思うようにされたてたと思えば、急に私をまた引き取って家に戻した両親。






……まぁ、両親って言っても本当のお父さんじゃない他人と、お母さんなのだけど。








そんな2人に疑問を抱きながらも帰ってきてみれば『体を売って金を稼げ』なんて言い始めた。






そりゃあ、どうせ同じ行為をするのだったら自分に利益がある方がいいに決まってる。







……だから私はあの冷たい家に……今でもいるんだ。






だから、小さい頃からずっといたってのはある意味間違ってるのかな?





……まあ、もうどうでもいいんだけどね。







私の過去は決して明るくない。







穢れてる。大人の欲望と悪の行為から成り立っている。







ねえ、神様……?


世界は……なんでこんなにも平等じゃないの?






なんで私がこんな思いをいつまでもしなくてはいけないの……?






私は届かないその疑問をぶつけるように、また目から涙を一筋こぼした。