………と、かっこよく決まったにも関わらず……
「羅双はどこにいるの?」
全く心当たりのない情報だった。
「さっきから言ってるけど、私はその羅双ってのとも関わりはないし、姫?でもないの!!」
私は呆れ気味に目の前にたつ男を見上げる。
これ、絶対人間違いで連れ去られたパターンだ……
だってさっきからこと人の言ってることが理解できないし、話も通じない。
羅双、羅双って言ってるけど、羅双って一体何なの……?
「まだとぼける、か。なかなか強情だねぇ?姫さん?」
「__だから、私は姫じゃな言って何回いえ__」
「うるっさいなぁ!!もう1回して欲しいの?」
「__っひ」
男が強引に私の顎を掴む。
その瞬間、寒気が身体中に走った。
「っ触らないでよ!!!」
私は思い切り首を振って抵抗する。
触られるだけで、鳥肌が立つ。
「馴れ馴れしく私に近寄るな!」
吐き気だってするんだ。
私がこんな体質になったのはあいつらのせい。
私はきっとあいつらのことを一生許せない……!
「偉そうだねぇ!いつまでもそんな口きけると思わないでよ?姫さん♡」
その瞬間、グイッと腰を引き寄せられ私は男の胸に収まった。
「……なっ……!!」
嫌だって言ってるのに!!!
体が拒否反応を起こして震えがいっそう大きくなる。
そんな私に気づいたのか、また口角を上げて楽しそうに笑う男。
「ふふふっ♪君みたいな子、いじめるの超楽しいんだよねぇ…セト様に感謝だ~!」
ドクンッ
その瞬間、私の心臓が大きく高鳴った。
いま、セトって言った……?
セトって…まさか、瀬戸くんなわけないよね?
いやいや、ありえない。何考えてんの私!
瀬戸くんは最近転校してけたばかりのちょっとチャラいただの男子で!
こんな暴走族とか関わりは………
__……ちょっと待って
そもそもなんでこんなに時期に、大して偏差値も高くないこの学校に入学してきたの?
登場の仕方とその後の発言で、聞くタイミング逃してたけど……どう考えてもおかしい。
それに、特別に特徴もなくいい所もない私に、転校そうそうアプローチしてきたのだっておかしいんだ。
私に近寄って来たのは、こうやって私を連れ去るため?
私を捕まえてるなら、私の身の回りの情報を知っておいた方がいいはず。
そう、なるべく近くで。なるべく親しくなって。
もし瀬戸くんが暴走族で、今私を捕まえてる組と関わっていたとしたなら
あの奇妙な転校時期も、私に近づいてきたわけも……
つじつまが………合う…?
「っ違う!」
違う違う違う!
瀬戸くんはそんな人じゃない!
最初は嫌いだったけど、ずっと一緒にいるうちに良い奴だって確かに感じたもん。
太陽と気まずくなった時だって、私にアドバイスをくれて助けてくれた。
そのおかげで仲直りすることが出来たんだ。
それなのに瀬戸くんを疑うだなんて、いくらなんでも恩知らずすぎるよね。
こんな状況で頭がどうかしてるんだ。
混乱して、ネガティブ思考になってるだけだよね…きっと。
私はブンブンと頭を振り払い、悪い予想を頭から離した。
……だってこんな予想、当たって欲しくなんかないから

