「なぁ姫さん?そんなビクビクしなくたっていいんだよぉ~俺たちは優しいから~ね?」
1人の仮面が私に近寄り、甘ったるい喋り方で首を傾げる。
その仕草と喋り方が、逆に恐怖をかき立てた。
髪は薄いピンクで、耳には赤のピアス。目にはカラコンをしているのか、真っ赤な朱色の瞳で私を捉えている。
私は改めて正面に来た人から周りに目を凝らした。
みんな髪色が派手で、中には大きな傷を針で縫ったような跡が腕にある人だっている。
なんでそんな暴走族が私を?
街でフラフラしてる時に見かけたことはあったけど、こんな仮面も付けてなかったし、喋ったことはもちろん関わったことすら無いはずだ。
私は疑問を頭に抱えながら正面の男を睨みつける。
怖いけど、そんなこと言ってられない。
早くここからでないと仕事の時間に間に合わない。
「んん!んんっっ!!」
「あぁ~それじゃ話せないねぇ。今とったげる~」
私がモゴモゴと口を動かすと、男は手を伸ばしベリっとガムテープを剥がした。
私は痛みに一瞬顔を歪ませる。
でもすぐ平静を装い、冷たい目で男を見上げた。
「なんで私をここに連れてきたの?私暴走族なんかと関わったことないんだけど、なんか用?」
私の強気な発言に、男は一瞬目を見開いてから口角を上げた。
「へぇ…君みたいな子があの族の姫だなんて意外だなぁ。こんな状況なのに怖くないの~?」
男が目を細めながら私の目をじっと見つめる。
私は負けじと睨み返し、
「用がないなら帰りたいんだけど」
と吐き捨てた。
さっきから姫やら族やら言ってるけど、何の事__?
私と何か関係あるっていうの?
ひとつの疑問が頭に浮かんだ。
「ふふっ♪気の強い子嫌いじゃないよぉ~?……楽しめそうだしね…?」
その瞬間フッと電気が消えた。
薄暗かった空間が、真っ暗な闇の世界へと変わる。
___な、何…?

