冷たい君の不器用な仮面






___ガラガラ……ピシャン










私は静かにレイのへ病室のドアを閉めた。








その瞬間、急に涙がドバっと溢れてくる。










「……っ……うぅ」










悲しい









寂しい








苦しい









もっと、もっとあの温かい場所に居たかった







バーでマスターとユウ、レイたちとくだらない話をしているあの時間を、もっと過ごしたかった。









温かくて、優しくて、どこよりも安心できた初めての私の居場所。








__失いたくなかった。なんとしてでも。








__でも私のせいでレイが2回も体に大きな傷を負ったんだ。








そんな危険を呼びよせる私は、あの場所にいていい人なんかじゃなかった。






あそこは、元から私の居場所じゃなかったんだよ__







そう考えれば、楽じゃないか







もう、全部忘れるんだ









あの温かい場所も、心から安心できた時間も、









__あとから辛くなるだけの記憶なんだから


















私は溢れ出る涙を手で拭いながら、下を向いてレイの病室を離れる。









1歩1歩足を踏みだしてレイの病室から離れるたびに、温かい何かが抜けていくような気がした。










……自分で決めたことじゃない。なんで今更、こんなに悲しくなるんだろう












私はエレベータの下ボタンを押し、ボックスの中に入った。









__中にいるみんなが、泣きじゃくる私を戸惑いながら見つめている









必死で止めようとしても、止まってくれない涙。










……なんで、言うことを聞いてくれないの











悲しくない、悲しくないんだよ









元々あそこは私の居場所なんかじゃなかったんだから








泣くことなんて、何にもない








今日からは、またレイたちと出会う前の日常に戻るだけ。













__それだけ、なんだから…………