私は家への帰り道を、1人でトボトボと歩く。




さっきの出来事があったせいか、まだ意識がはっきりとしていない。



あの後、1人その場に残された私は、成瀬の大量の血をどうしようかと1人でオロオロしていた。




すると、何人かのスーツを来た背の高い男性たちが、私の目の前にやってきた。




私は素直にビビり、後ろに後ずさる。



すると、1人の男性が私を見ながら口を開いた。



「成瀬様を助けていただいたお方でしょうか?」


男性は丁寧な口調で私に話しかける。



「えっ、あ、はい」



私は戸惑いながらも、こくんと頷く。



するとそこにいた人たち全員が、バッと一斉に頭を下げた。



私はびっくりして、より後ろへと後ずさる。



「誠にありがとうございました!」



……なんだこの状況。




いくら路地裏で人気がないとはいえ、何人かの人は通るし、何より目立つ。



「ちょっ頭あげてください!」



私は少し焦りながら、男の人たちに声をかける。



すると急にババっと頭をあげた。




……なんていうかこの人たち、激しいな……




「では、我々はこれからここを清掃いたしますので、あなた様をお送りします。」




男の人はハキハキとした口調で、車を指差す。




え、送る?



いやいやいや、いいですよ!



ぜんっぜん遠くないし街灯もあるから暗くないし!




というか、そんなの申し訳なさすぎる!




ただ偶然通りかかって家に電話かけただけだし。




「大丈夫ですから!ありがとうございます!じゃあ!」



私はくるっと体の向きを変えて、逃げるようにしてその場から去った。





……そして、今にいたる。





……そして、私は後悔をしている。




の、乗せて貰えばよかった……




……だって、私今血まみれなんだもん。



さっき気づいたんだけど、そういえば成瀬を抱きかかえたり、血のついた地面に膝をつけたりしていたんだった。



そのおかげで、私の服もズボンも血がついてる。




それを気遣って、さっきの男性は送ると言ってくれたのかもしれない。





わーん、失敗した。



まあ、グダグダいてってもしょうがない。




早めに帰ろっと!




私は足早に帰り道を歩いた。