その言葉を聞いた瞬間、私の中になにかが走った。
__…私は、愛されていたの……?
今までは、私に『愛される』という言葉は疎遠だと思っていたから考えもしなかった。
冷たい家に、冷たい家族。
そんな中でここまで育ってきたから、『愛される』ということがどういう事なのか私は知らなかったんだ。
でも
太陽が、ずっとそばにいてくれて
ずっと私の心配をしてくれて
__ずっと私を見てくれていたから
今、これが『愛』だっていうことに気がつけたんだ
今やっと名前がわかったよ、太陽。
私は太陽にちゃんと、愛してもらってたんだね
太陽のおかげでここまで生きて来られてたのに、それに今まで気づかなかっただなんて私はおかしいよ
__でも今やっと気づけたから
そんな大切な人を少しでも悲しませてはいけないから
だから今、私がしなくちゃいけないことは……
「__っ瀬戸くん!教室に行ってくる!!」
私は思い切り立ち上がり、返事も聞かずに教室へと走り出した。
「うん。行ってらっしゃい」
瀬戸くんはそんなにニッコリと笑顔を向ける。
…その笑顔の中にはほんの少しだけ憂いが宿っていた気がしたけど
今の私にはそんなことを気にする余裕がなかった
「ありがとう、瀬戸くん!」
私は後ろも振り向かず、そのまま走り続けた。
だから私は瀬戸くんの小さなつぶやきなんて、聞こえていなかったんだ
「なーにやってんだろ、オレ」
瀬戸くんはクシャクシャっと髪を掴んだ。

